小田原の漁師Story

和田丸 和田博行さん

「スピード」が小田原のシラスのおいしさを支える!

 

和田丸の船長、和田博行さん

漁業・農業を営む家に生まれ、32歳から漁師に。

主に、しらす漁・伊勢海老漁・ヒラメ漁

 

 

生しらすといえば相模湾ならではの人気の魚ですが、一年中食べられるわけではないということをご存知ですか?

生しらすの漁にはシーズンがあり、1月から3月は禁漁期。その期間は食べることができません。

では、生しらすの旬の時期は?というと、春、夏、秋にそれぞれに旬があるとのこと。7月は夏の旬!ということで、すでに30度を超えた7月の朝6時。シラス漁から小田原漁港に戻った和田丸の船長、和田博行さんにお話を伺いました。

実は和田さんは、小田原漁港で唯一のしらす漁師さんなのです。

今日は豊漁だったという和田さん!

 

― 今日は何時から漁に出ていらしたんですか?

 

4時半に出発して酒匂川の方に行って来ました。船で10分。漁場まで近いんですよ。

船には3人で乗って行って、シラスの漁場に着いて、網を入れて、シラスを獲って網を船に引き上げるまで30分。

網引き上げたらすごいスピードで帰ってくる。

 

―全速力で戻ってすぐ、セリにかけるわけですね。

そう、港に戻ってからもなるべく短時間で。

船からしらすを下ろしてセリにかけるのに、早い時は5分くらいしかかからない。これまでの記録は、漁場で網を上げて、もどってセリにかけるまで20分が最短ですね。

セリ:魚市場で、水揚げした魚を並べて、値段を決める方法。小田原漁港では1番売場〜4番売場のうち、2番売場がその日に水揚げされた魚介類を売る場所となっている。売る順番は早く水揚げした順。

 

―ええっ!網上げて20分でもうセリへ!すごいスピードですね!

 

獲った帰りは港まで爆走だね(笑)

生シラスはとにかく鮮度が命だから、それはもう時間が短ければ短いほどいいんですよ。

 

 

―そのスピードが小田原の生しらすの魅力なんですね。

 

そうです。生しらすは何はともあれ鮮度が重要。

小田原は漁場が近い。だから短時間で行って獲ってこられる。

さらに早く市場にもどってセリにかけてもらって、早く魚屋さんに持って行ってもらえる。

早さがつくる鮮度の良さ、これが小田原の生シラスのおいしさの特徴ですね。

 

 

―ここにシラスがいる、ってどうやったらわかるんですか?

 

この辺りに行くといるな、とこれまでの経験から予想して漁場に出て、現場に行ったら、ソナーっていう機械と魚探を見て、魚の群れを探すんです。

 

ソナー:船の周囲の魚群の分布を探知して表示する高性能な機器

魚探(魚群探査機):船の真下の魚群の状況を探査する機器

 

 

―和田さんは漁師さんになってどのくらい経つのですか?

 

漁師は32歳からはじめて、いまで18年目。もともと家が漁師と農家で、保育園行ってた頃から親父に船に乗せられてたから、自然な成り行きでいずれは漁師にと思っていましたね。最初は親父と一緒にやって、船のことから漁のことから教わって。

でも親父はシラス漁はやってなかったんですよ。

 

―えっ!では、どうやってシラス漁を?

 

最初はしらすの仲間の人に船に乗っけてもらって技術的なことを教わったんです。あとは経験ですね。

普通しらすは遠浅のところで撮るんですよね。江ノ島とか、茅ヶ崎も平塚も遠浅。

小田原はどん深(どんぶか)なんですよ。すぐがくんと深くなるから、しらす漁は難しいんですよ。

かなり四苦八苦して、4年かかってやっと獲れるようになりました。

毎日漁場に行かないとどのくらい獲れるかはわからない。今日は運良くたくさん獲れましたね。

 

―おつかれさまでした!では最後に、新鮮な生シラス、いちばんおすすめの食べ方を教えてください。

 

それはもう、醤油と薬味、生姜が一番です。

旬のシラスは、シンプルがいいですよ!

 

 

 

3時半に起きて、漁に出て、遅くとも9時には戻り、そのあと田んぼや畑に出る日もある、という和田さん。

朝が早いから、何にもなければ7時半くらいには寝て、翌日に備えるのだそうです。

 

和田さんが海から運ぶ、旬の新鮮な小田原のシラス。ぜひ味わってみてください。

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