相模湾の海底地形
相模湾は富山湾、駿河湾とともに日本3大深湾と呼ばれています。
小田原漁港から船で沖に出ると僅か数分で、水深1,000m以上の海域に到達します。このとても深い相模湾には主に2つの海水の層があり、それぞれ相模湾に恩恵をもたらしています。1つ目は、表層には温かい黒潮系の海水が流れており、これにより多様な魚が相模湾に運ばれてきます。2つ目は、水深約250mから1,000m付近に北からの冷たい親潮系の海水が流れ込んでおり、相模湾に豊富な栄養がもたらされます。
また、箱根や丹沢など主に県北西部の森からも、酒匂川などの河川を経由して栄養分が相模湾に流れ込んでいます。これらにより、相模湾では日本の沿岸に生息する種類の半数以上である1,600種を超える魚をみることができ、各々の季節ごとに多くの魚が漁獲され、およそ300種が食用として流通しています。
※出典:「神奈川県水産技術センサー相模湾試験場ホームページ」より
画像提供・監修:神奈川県 生命の星・地球博物館 新井田 秀一
相模湾の「鯨瞰図(げいかんず)」
目の前に見えている地形は、そのまま海へとつながっています。
そのことを伝えたくて、海の中の地形を立体的に感じることができる図を作りました。
この図は、相模川の支流・道志川の源流域にある御正体山の高度12,500mから、南東方向を27.5度下向きに見ているように計算したCG(コンピュータ・グラフィックス)です。このような図は鳥が見下ろしているような図「鳥瞰図(ちょうかんず)」と呼びますが、この図は海の中まで見えているので、クジラの目線として「鯨瞰図」としました。
「漁港の駅 TOTOCO小田原」から沖合を見ると、右側には箱根火山からの斜面が続いています。真鶴岬の沖には、真鶴海丘という高まりがあります。正面は足柄平野からつながる緩やかな斜面、左側には大磯丘陵と同じような急斜面があり、二宮方向からの二宮海底谷や大磯方向からの大磯海底谷が交わってきています。このように、海の中にも起伏があり、名前も付いているのです。
このアプリを使って、「小田原漁港」の前に広がる海の中をのぞいてみてください。
(生命の星・地球博物館 新井田 秀一)
画像提供・監修:神奈川県 生命の星・地球博物館 新井田 秀一